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2000年前後のインターネット

 
テキストサイトを叩く前に、当時のネットについて振り返っておこう。
 

私のネット史

1999年に自分専用のPCを買って、本格的なネット生活が始まった。
よく利用していたのはヤフー掲示板で、主に野球カテゴリに書き込んでいた。
ヤフー掲示板や全商品裁判所のような投稿型サイトでは、広末涼子華原朋美がボロクソに叩かれており、
そこにはインターネットでしか味わえない刺激と興奮があった。
  
その後、ヤフー掲示板に貼られたリンクがきっかけで自アンを知った。
そのリンク先は、自アンで最も有名な箱の一つ、『川の中州にとりのこされる』箱だった。
水難事故の死亡者とその遺族に対する、言いたい放題の罵倒や嘲笑に圧倒された。
こうして、自アンが私のメインサイトになった。自アンではネタ文章を投稿するようになった。
 
私はゲーム音楽が好きで、ゲーム音楽のコピーMIDIを公開しているサイトをよく見ていた。
中でも好きだったのが、鳥煮亭の妖怪道中記のアレンジ曲だったが、当時の私のPCでは
88ProのMIDIデータをきれいに再生できず、音が消える箇所があったりして残念だった。
Sound Horizonも好きだった。Soud Horizonの曲をBGMに使っている素材サイトとともによく見ていた。
原始芋氏のサイトをはじめ、グラディウス関連のサイトもよく見ていた。
 

音楽ツクールで作曲をしていた私は、2000年の1月、自作曲を公開するサイトを作った。
下手糞な曲ばかりだったが、自分のサイトを持ったことで、ネットはさらに楽しくなった。
CMC(Computer Music Center)に自分のサイトを登録したら、一週間で300以上のアクセスがあったが、
新着から姿を消したとたんに失速して、以前と同じ一日2、3アクセスのサイトに戻ってしまった。
ただ、おかげでいくつかの音楽サイトの方が私の曲を気に入ってくれて、相互リンクをすることになった。
 
2001年の引っ越しを機にサイトの更新をやめ、DTMからも長く離れてしまったが、
代わりにアクアリウムやミステリなどの新しい趣味ができて、ネット生活の幅も広がった。
 

2000年前後のネットの思い出

今思い出せるものをいくつか挙げてみる。
 

Zaudy's MP3
 

2ちゃんねるの作曲板で話題になったアマチュア作曲家のZaudy氏。
リアルタイム入力が生み出す臨場感、ソウルフルなボーカル、個性的で面白い曲を作る人だった。
痛い作曲家として見られる一方で、Zaudy氏の音楽性や人柄に惹かれる人も多かったと思う。
Zaudy氏のサイトはすでに無くなっているが、muzieで現在も曲を聴くことができる。
 

『Shou、show me your show』 Zaudy氏を一躍有名にした代表曲。息子の翔一君への応援歌。
『小川の外は雷雨だった』 私のおすすめ。普通によく出来た曲。アレンジもボーカルも冴えている。

ピアノ講師の作曲サイト
 
音楽サイトのサーチエンジンで見つけた、ピアノ講師の女性による作曲サイト。
面白かったのが、プロフィールのページで自身の恋愛遍歴を長々と書き綴っていたこと。
恋愛を通じて人間的に成長したという主旨で、それまでに付き合った男性とそのエピソードを
一人一人紹介していき、たしか五人目あたりで結婚していたと思う。
文章の終わりに、自身のウェディングドレス姿の大きな画像を載せていた。
 
当時のネットユーザーの自己開示には独特なものがあった。
ヤフーのプロフィール欄に、本名および自宅の住所と電話番号を記載している人も何度か見かけた。

空色勾玉
 

気取り屋の痛い若者として、2ちゃんねるでウォッチ対象になっていたネオ氏のサイト。
文学、音楽、漫画、映画についての論評がメインで、アーカイヴを見ると短編小説も書いていた模様。
一言映画評のページが面白かった記憶があるが、アーカイヴを探しても見つからない。
私が見ていた当時、ネオ氏は19歳の大学一年生だったが、年齢のわりに言葉の豊かな人だった。
侍魂ろじぱらなど話にならない。空色勾玉こそがテキストサイトと呼ばれるべきだろう。

アジアの貴公子 ウォーヘン・ナンカン
 

人気歌手のウォーヘン・ナンカン氏による、自画自賛と恋人募集のサイト。
メールで送られてきたガールフレンド志望者の女性の写真を公開して評価コメントをつけていたが、
男性の写真も多く送られてきたらしく、「I'm not gay!」と何度も断っていた。
随分後になってから、Wikipediaでサイトの真相を知ることができた。


 

画像は無題というテキストサイトのリンクページ。
この件は無題に紹介される以前から知っていたが、画像の説明の通り、スタジオ彩の頂き絵の
コーナーで、すごく下手な絵師から贈られた絵が公開されていた。はっきりと覚えていないが、
不気味な絵柄のぶっかけ絵だった。サイトの管理人氏も、「好きなシチュです!」というふうに、
シチュに限定しながら絵を褒めていたと思う。

晴香の考古学
 

旧石器捏造事件が世間を騒がせていた頃、藤村進一氏を尊敬している小学六年生の晴香さんが
運営する考古学サイトが見つかり、2ちゃんねるロリコンたちの間で話題になった。
「とんでもないブスだったらどうするんだ」という冷静な指摘もあったが、
「はるかちゃんのハートに旧石器ン!」という書き込みが面白かった。

おおもりよしはる
 

おおもりよしはる氏は、九大歯学部出身でクラシック音楽が好きな萌え絵師。
当時、2ちゃんねるの同人版では、おおもり氏と山本定吉氏がセットでウォッチされていた。
おおもり氏には熱烈なアンチがいて、日記によると、自宅の郵便受けに生卵やコーヒーを
流し込まれたこともあるらしい。現在、アーカイヴを掘っても該当の日記は見当たらないが、
当時、おおもり氏のサイトでその日記を見た記憶がある。

All About Japan 「笑えるサイト」
 

様々な分野において、その道のプロがガイドしてくれる情報サイトらしいが、
「笑えるサイト」に関しては、テキストサイトをありがたがるような浅い人がやっていた。
記事自体に見るべきところは無かったが、担当ライターの顔が面白かった。

千人祈
 

イラク戦争当時、大手テキストサイトの呼びかけで反戦メッセージを募集する企画があったが、
投稿されたメッセージの中におかしなものがあった。

気づいてください、あなたたちが相手に打ち込んでいるのはミサイルや銃弾ではなく悲しみだってことに。

ミサイルや銃弾といった殺戮兵器が、悲しみという抽象的な言葉に訂正されて、意味不明な文になっている。
こういう観念的な言葉遊びの軽薄さが、いかにもテキストサイト界隈らしい。

 
残念なことに、当時はページを保存したりスクリーンショットをとったりする習慣が無く、
面白かったサイトをあまり記録できていない。
今回紹介したサイトについて、より詳しい事情を知っている人がいたら、ぜひ教えてほしい。
 
 
※追記
2000年前後だったと思うが、おかっぱ頭でフクラガエルのような顔をした不気味な男性が、
恋愛の真理を突いた短い詩や格言を披露するサイトがあった。憶えている人はいないだろうか。